(初出:21/02/13)
sumikaが2月9日(火)、10日(水)、11日(木・祝)の3日間に渡って、さいたまスーパーアリーナにてオンラインライブを開催した。
当初は2020年3月から6月にかけて、全国アリーナツアー「sumika Arena Tour 2020 -Daily’s Lamp-」を予定していたが、新型コロナウイルスの影響により、全公演の開催を延期。さらに、2021年1月6日(水)と7日(木)、2月9日(火)、10日(水)、11日(木・祝)の5日間を予定していた、さいたまスーパーアリーナでの振替公演「sumika Live Tour 2020-2021 -Daily’s Lamp- 」の開催も中止となり、全振替公演の開催をやむなく断念し、即日完売していたチケットを手にしていた方には配信ライブを提案。2月9日(火)は、アリーナツアーの全公演日程の振替公演としての生配信ライブを実施し、2月10日(水)は2018年に発足したオフィシャルファンクラブ「ATTiC ROOM」限定のオンラインライブを開催。事前告知はこの2日間のみだったが、2月11日(木・祝)には急遽、誰もが無料で視聴できるオンラインライブをYouTubeから生配信することが決定。セットリストや曲数だけでなく、セットや演出も全てを変えた内容で幅広いファンを楽しませた特別な配信ライブとなった。
【DAY1】
初日は、アリーナツアーの全公演日程の振替公演として、「sumika Online Live -Daily’s Lamp-」として作り上げた世界観を表現。映像はオレンジの火が灯るランタンのアップから始まり、次第にカメラが引いていくと、眩いサーチライトがさいたまスーパーアリーナの無人の観客席を照らした。一瞬の暗転後、紗幕越しに大きく手を掲げるメンバーのシルエットが映し出され、<ラララ>というハーモニーとともに幕が下り、のちのMCでヴォーカル&ギターの片岡健太が「ツリーハウスじゃなく、木に家をぶっ刺してくださいとお願いした」という7件の家が連なる大木を背にしたバンドが登場し、真っ直ぐに前を向いて進んでいくんだという意思が込められた「センス・オブ・ワンダー」でライブは勢いよくスタートした。
「ふっかつのじゅもん」ではチャット欄に<へい!>という掛け声が飛び交い、「配信だろうと構わない。ひと花咲かせにやってきました!」と叫んだ「Flower」、「直接会えないのはめちゃくちゃ残念なんですけど、形は変えても気持ちはちゃんと伝わると思ってます」と語りかけた「カルチャーショッカー」や「Lovers」では画面越しのオーディエンスの心と身体を踊らせ、絵文字によるクラップで大きく盛り上がった。
MCではアリーナツアーの全公演を中止し、生配信という形でライブを届ける選択をした経緯を説明。「生のライブが見たいからチケットを払い戻しをしたという方の選択も最大限に尊重します。だけど、こうして生配信を見る選択をしてくれた人のことを絶対に間違ってないと言い切りたい。絶対に正解ですと言い切れるライブを約束します」と宣言。続く、アニメ「MIX」のOP主題歌「イコール」の<ディスプレイ越しの温度じゃ足りないよ>というフレーズと、ギターの黒田隼之介のメロディアスなソロには、sumikaが現在、抱えているもどかしくも切実な思いが込められているようで、胸に迫るものがあった。ドラムの荒井智之のブラシから始まり、ジャジーでセクシーな「Strawberry Fields」、見つめることしかできない切ない恋心を描いたウインターラブソング「願い」を経て、医療従事者や音楽ライブ関係者の支援のために創設した基金「Dress farm 2020」のためにキーボード&コーラスの小川貴之が作曲した「晩春風花」では、桜の花びらが舞う中で、チャットながらも<ラララ>のシンガロングも巻き起こった。
ここからの転換もそのまま見せ、アコースティックギター、ピアニカ、カホーンにヴォーカルというアコースティック編成で「アネモネ」「ここから見える景色」をパフォーマンス。彼らと同じ部屋の中にいるような温かく親密なムードで満たし、ピアノとヴォーカルのみというミニマルなアレンジとなったラブバラード「溶けた体温、蕩けた魔法」を歌い終えたところで、後半戦へと突入。熱気と興奮を一気に上げていく楽曲が続くが、映画『ぐらんぶる』の主題歌「絶叫セレナーデ」や初披露となる「Late Show」では、「もう一回やっていいですか?」と珍しく演奏をやり直す場面もあった。片岡は「トラブル続きだぜ。とんでもなくライブ感あるな。だって緊張するんだもん。やっぱりあなたがいないとダメよ。知ってたけど、気づいちゃったわ。やっぱ会いたいです」と正直な気持ちを吐露。改めて、今後も配信や人数制限のある有観客ライブなど、さまざまな形でのライブを提案していくことを告げ、「いろんな形で楽しんでもらえるように、僕らは変わらずにsumikaの扉を全開にして、お帰りなさいという準備をして待っています。いつでも帰ってこれるような家で居続けるぞという約束をして、今日は終わりたいと思います。出会ってくれてありがとうございました。sumikaでした」と挨拶。「雨が降っても槍が降っても辞めない覚悟」を込めた「雨天決行」で始まりと反撃の合図を高らかに鳴らし、「2020年に見つけた、2021年に伝えたいこと」を込めた「本音」で<ありがとう>という感謝の気持ちを全力で届けると、「元気でいてよね。また必ず会いましょう」と再会の約束をし、全18曲で約2時間に及んだライブを最高の笑顔で締めくくった。
【DAY2】
「sumika Online Live -ATTiC ROOM PARTY 2021-」と題した2日目は、ファンクラブ限定ということもあり、リラックスした雰囲気になっていた。映像は、メンバーがステージに上がる直前、会話をかわしながら集まる、バックヤードで円陣を組むところまで見せてくれた。そして、ステージは前日とは一転。ツリーハウスやランタンなどは全て撤去され、家具やソファー、ルームライトが設置された部屋へと様変わり。まずは、<僕の6畳半>から<昨日と違うあなたへ>というフレーズが耳に残るギターロック「FUN」を実に楽しそうに伸び伸びとプレイ。片岡と小川が歌い継ぎ、見事なハーモニーを響かせるプロポーズソング「familia」や黒田のギターも歌うダンスロック「グライダースライダー」では、画面越しのファンも<へい!><ろうろう!>とチャットで声を重ね、ライブのような一体感が生まれた。
ライブの中盤には、2017年5月以来4年ぶりとなる「camp session」が復活。「camp session」とは、片岡曰く「一緒にキャンプファイヤーを囲んでみんなで一緒に歌ってるような気持ちでやってる」ライブのこと。「知らない誰か」はフォークカントリー調に、「Amber」はテンポをグッと落とし、大人の色気が増加。アコギの弾き語りから始まった「リグレット」では穏やか休日にさす木漏れ日ようなトーンでファンの心を温め、チャットとTwitterを連動させたリクエスト企画では、ドロドロのラブソング「Travelling」に大差をつけて、ピュアピュアラブソングの代表「いいのに」が勝利。「この曲、久しぶりだな」と語った片岡はハンディカムを手に、メンバーを撮影しながら歌唱。劇場アニメ「君の膵臓が食べたい」の主題歌「春夏秋冬」で涙を誘ったあと、ライブでは常に大合唱が巻き起こる「伝言歌」を熱唱。「2020年、とんでもなく辛い中、やだなやだなっていう毎日で支えてくれたのは、ライブの記憶でした」と語った片岡は、曲の最後に「愛してる」と呟き、「MVもない、ライブが育ててくれた曲なので。いろいろ思い出してグッときちゃったな。また会った時はこの曲を一緒に歌いたいと思ってね、恋しくなりました。恋しいな」と画面の向こうのファンに呼びかけた。
ここで、片岡が突然、「ここ、明日も空いてるんですよね。ライブ、明日もやります!」と発表。初日のライブ後にスタッフと相談して急遽、決めたサプライズ。チャット欄では歓喜の声が上がるなか、「帰ってくる場所はちゃんとある。いつでも、ただいま、おかえりが言える場所になる」という思いを込めた「オレンジ」を歌い終えると、「出会ってくれてありがとう」と一礼。カメラはステージを下りたメンバーが楽屋に戻り、楽屋の扉を閉めるところまで追いかけ、<また明日>というメンバー手書きの文字とともに全10曲で約1時間のライブは幕を閉じた。
【DAY3】
そして、3日目はsumika初となる無料オンラインライブ「sumika Free Online Live at さいたまスーパーアリーナ」がYouTubeで生配信された。昨日の続きである今日を始めようと歌うカントリーポップ「フィクション」や青春を想起させるように飛び跳ねるロックンロール「ソーダ」に続き、3月3日に発売となるサード・フルアルバム『AMUSIC』から先行配信中、”受験にin ゼリー CMソング”として話題を集めている新曲「祝祭」を初披露。コメント欄が興奮の声で盛り上がる中、片岡、小川、黒田の3声によるハーモニーが美しく響くファンキーなR&B「Summer Vacation」や、「今、一番歌いたい曲」と話した「ファンファーレ」など全6曲をパフォーマンス。この暗闇を切り裂いて、何度でも迎えにいくという決意を込めた楽曲を歌い終えたところで終了の予定だったが、片岡は「やばい。もう1曲、歌っていいですか?」とメンバーとスタッフ、さらに見てくれているみんなに確認。「わがままですみません。もう1曲、歌わせてください。絶対に会うまで、この家を守り続けて待っています」と約束し、sumikaで初めて作った大切な曲である「雨天決行」を初めてメンバーと音を合わせたときのようなテンションで、「おっしゃー」と声を上げながら演奏。「はい、思い残すことはありませーん。また必ず会いましょう」と晴れやかな表情で手を振り、3日間に渡って、幸せと楽しさを届けてくれたオンラインライブは終了となった。
なお、1日目の模様は、2月15日(月)23:59まで、2日目の模様は2月16日(火)の23:59まで見逃し配信公開となっている。
また、sumikaは3月3日(水)に3日目に披露した新曲「祝祭」や予定していたセットリストでは唯一の被り曲で、ドラマ「おっさんずラブ -in the sky-」の主題歌「願い」などを収録した、2年ぶり3枚目のアルバム『AMUSIC』をリリースする。
【DAY1】セットリスト
2021年2月9日 (火)
「sumika Online Live -Daily’s Lamp- さいたまスーパーアリーナ」
- センス・オブ・ワンダー
- ふっかつのじゅもん
- Flower
- カルチャーショッカー
- Lovers
- イコール
- Strawberry Fields
- 願い
- 晩春風花
- アネモネ
- ここから見える景色
- 溶けた体温、蕩けた魔法
- 絶叫セレナーデ
- MAGIC
- ライラ
- Late Show
- 雨天決行
- 本音
【DAY2】セットリスト
2021年2月10日 (水)
「sumika Online Live -ATTiC ROOM PARTY 2021-」
- FUN
- Familia
- グライダースライダー
- 知らない誰か
- Amber
- リグレット
- いいのに
- 春夏秋冬
09.「伝言歌」 - オレンジ
【DAY3】セットリスト
2021年2月11日 (木/祝)
「sumika Free Online Live at さいたまスーパーアリーナ」
- フィクション
- ソーダ
- 祝祭
- Summer Vacation
- 願い
- ファンファーレ
- 雨天決行
■sumika プロフィール
片岡健太(Vo./Gt.)、荒井智之(Dr./Cho.)、黒田隼之介(Gt./Cho.)、小川貴之(Key./Cho.)からなる4人組バンド。
様々な人にとっての“sumika(住処)”のような場所になって欲しいとの願いを込めて、2013年に結成。
これまでに2枚のフルアルバム「Familia」(2017年)、「Chime」(2019年)。ミニアルバム、e.p、シングル等を発売。
ツアーでは日本武道館、横浜アリーナ、大阪城ホール等の公演を完売させる、今最も目が離せないバンド。
2020年3月 “進研ゼミ2020”CMソングを含む、4曲入りEP『Harmonize e.p』を発表。新型コロナウイルスの影響により、sumikaとしての活動が止まっていた中、5月末、“Dress farm 2020”(読み:ドレスファームニーゼロニーゼロ)プロジェクトを立ち上げ、メンバー全員が一人一曲を作曲~リモートレコーディングされた新曲4曲と、未発表ライブ映像4曲の計8作品を公開、医療やエンタメ従事者対象の基金“Dress farm 2020”を創設。昨年夏には全国ロードショーされた映画『ぐらんぶる』の主題歌、挿入歌を書き下ろし、デジタル配信リリースや初のオンラインライブ「Little Crown 2020」を開催。2021年1月6日、第99回全国高校サッカー選手権大会応援歌「本音」を含む、両A面シングル「本音 / Late Show」を発売、3月3日にはサードフルアルバム『AMUSIC』を発売する
オフィシャルHP: http://www.sumika-official.com/home/
<記事提供:ジェイタメ>